勇敢なスパレッティと臆病なガットゥーゾ
2018年10月22日 セリエA第9節 222回目のミラノダービーが行われた。
近年稀にみる好調同士のミラノダービーはインテルに軍配があがった。
今年のミランはイグアインを獲得し決定力が大きく向上しウイングのスソとチャルハノールも好調を維持しキーパーからボールを繋ぐポゼッションサッカーを掲げ9節までリーグトップのゲーム支配率を誇っていた。公式戦も4連勝中と攻撃陣の連携はかなり良かった。
対するインテルも公式戦6連勝と絶好調であった。
インテルはミランとは対照的にボールポゼッションには興味を示さず新加入のナインゴランをトップ下におき前線からのハイプレスを掲げたサッカーであった。
ポジショナルプレーvsストーミング
という対決とあって世界各国から注目された。
ミランのスタメンはいつも通りの4-3-3
GKドンナルンマ
LSBリカルド・ロドリゲス CBロマニョーリ、ㇺサッキオ RSBカラブリア
DMFビリア CMFケシエ、ボナベントゥーラ
LWGチャルハノール CFイグアイン RWGスソ
インテルは4-2-3-1と予想されたが実際には4-1-4-1
GKハンダノビッチ
LSBアサモア CBデ・フライ、スクリニアー RSBヴルサリコ
DMFブルゾビッチ CMFナインゴラン、ベシーノ
インテルは試合開始のホイッスルから自慢のハイプレスでミランを威圧した。ハイプレスのスイッチになったのはインサイドハーフのナインゴランであった。センターバックまでナインゴランがプレスをかけるとインテルの選手は連携しハイプレスをかけた。
それでもミランはボールを繋ごうとするがパスコースがなくドンナルンマがロングボールで逃げる形が続いた
。
前半15分ナインゴランが負傷でバレロと交代した。
ロングボールを蹴らせたインテルは悠々とボールを拾いポゼッションを開始した。
インテルはセンターバックがボール保持時、両サイドバックは高い位置にとり、2センターバックの頂点にブロゾビッチを置き、アンカーのビリアの脇にバレロとベシーノを配置した。
ここが試合の大きなポイントである。
インテルの両インサイドハーフがビリアの脇にポジションをとる事でミランのストロングポイントのケシエとボナベントゥーナの守備での推進力を生かせないでいた。
ケシエがブロゾビッチにアプローチした際ビリアはスライドしベシーノにマークを付き
ボナベントゥーナもビリアと同じラインまで下がりバレロのマークをついた。
逆にボナベントゥーナがブロゾビッチにアプローチした際は同じ様にビリアとケシエがスライドした。
ブロゾビッチにボールが入ってからアプローチに行くので簡単にボールを動かされた。
しかし前半はスライドがうまくいきビリアの脇をつかれることはほとんどなかった。
一方ミランの攻撃はインテルからボールを奪ってもインサイドハーフが低い位置にいたのでイグアインが完全に孤立した。
イグアインにはCB2枚とブロゾビッチにマークされボールを触ることさえできなかった。
唯一の攻め口はチャルハノールとスソであったチャルハノールとスソはインテルのサイドバックと互角以上に良かった。
前半は若干インテル優勢で終了する。
後半になるとスパレッティはペリシッチに代えケイタバルデを投入して攻撃に変化を加えてきた。
前半から飛ばした影響で後半は両チームとも運動量が落ちた。ミランの中盤はスライド遅れバレロとベシーノに多くボールを供給された。
ミランは30分にチャルハノールに代えてクトローネ、40分にはケシエに代えてバカヨコを投入するがたいした変化は起きない。
ガットゥーゾの意図としてはクトローネを左サイドに置き、スソのいる右サイドからクロスをあげクトローネという形を狙っていたと思われるがインテルの守備はクトローネにボールが渡るような守備で
ミランを苦しめた。
後半、運動量が落ちてきた両チームは間延びしセカンドボールを取るのが鍵となりバカヨコを投入したがバカヨコはボールが足に着かず正直全く使いものにならなかった。
一方インテルは常にゴールを目指し37分にカンドレーバァを投入し最後のカードを切った。
インテル優勢で試合を進めていたがミランも最後の砦であるロマニョーリとドンナルンマが必死に身体を張り失点を防いでいたが後半46分カラブリアに代え、アバーテを入れミランは完全にドロー狙いに入った。
しかしその2分後スローインのから簡単にクロスをあげられ、ドンナルンマがボールの軌道を誤りイカルディにヘディングでゴールネットを揺らされた。
このゴールで試合は決まりミランは痛い敗戦を喫した。
常に勝利を目指したスパレッティのインテルと弱気な采配、そしてドローに持ち込もうとした臆病なガットゥーゾのミランには明暗が分かれた。
なぜミランは負けたのか。
勝つためには何が必要だったのか。
まずミランが負けた原因は3つある。
1つ目はシステムである。